三月の夜風、どこへだっていくよ。

 

 

 

何事もなかったかのように、僕を迎えて

 

 

まだ水分を含んだ瞳に

 

わたしたちを映しながら、

 

無礼なお願いだと、

 

涙したことを

 

そっと隠したがったあなた。

 

“見せたくない”と、

 

そんな姿でさえ魅せられて

 

夢をみていたわたしがいた。

 

でもね、

 

ほんとうだったら

 

誰にも気づかれないように

 

頬を濡らしていたのかもしれない、

 

独りで

 

堪え切れぬ涙を流した夜が

 

いくつもあったのかもしれない、

 

そう思ったら

 

胸が苦しくて、

 

だから

 

やさしさに溢れたあの場所で

 

“見せたくない”を

 

見せてくれてありがとう、と

 

思わざるを得なかった。

 

 

こうして文字にのこすこと、

 

考えすぎてしまうこと、

 

もしかしたら

 

あなたは嫌がるかもしれないけれど。

 

届けたいのは

 

心配の眼差しではなくて

 

心からの愛であることを

 

知っていてほしい。

 

 

子どものように

 

声を上げて

 

泣いたあなた。

 

ぎゅっと抱きしめてあげたくて、

 

なんにも心配いらないよ、

 

ぜんぶ、大丈夫になるよ、

 

無責任でも

 

心ごとつつみたくて。

 

小さすぎる背中に

 

重くのしかかった

 

責任と未来。

 

平気なはずなんてないのに、

 

この人なら、と

 

いつの日からか決めつけていた。

 

それでも、

 

頼りたくないと、

 

気づかれたくないと、

 

1人で解決したいと、

 

そう望むのならば

 

その想いを守りたい。

 

気づかないように、

 

見ないように、

 

何事もなかったように、

 

目を瞑るから、

 

横顔に滲む

 

不安も羨望も越えて、

 

どうか、この人に、

 

まごうことなき

 

鮮やかな明日をください。

 

 

過去も未来も

 

抱きしめて歩くあなたなら、

 

夢という名の永遠はあると

 

信じて疑わない

 

わたしのこの心は、

 

きっと

 

間違ってなんかいない気がします。

 

この夜でさえ

 

まだ序章だと。

 

声を上げる未来が

 

待ち遠しくて仕方がない。

 

 

胸いっぱいに

 

ありがとうを抱えた日。

 

仮に

 

絶望を抱く日があったとしても、

 

あなたのために

 

明日はやってくるよ。

 

この先も

 

選択肢がたくさんあったとき、

 

あなたがしたいように

 

生きたいように

 

足跡をのこしてくれたらいいな。

 

 

味方だと言ってくれた

 

幾億の光に照らされて

 

ここにいてくれることが嬉しくて

 

いつまでも

 

目一杯笑えますように、と

 

おまじないみたく

 

今日も空に願いながら。

 

 

 

 

 

 

2023.03.13